地方公務員って意外にラクじゃないですよね。
ラクで安定してると思ったから入ったのに、働き出してみると意外にそうでもない。市民のしょうもないクレームを長々聞かなきゃいけなかったり、できない奴の尻ぬぐいをさせられたりして、気づくと結局残業してんじゃん。いっぱしにストレスたまるじゃん。思ってたのと違うよ。みたいなことってよくありますよね。
特に管理職の人は辛そう。出世するたびに頼る上司は少なくなります。課長や部長ともなると市民や議会の矢面に立たなきゃいけないし、部下の失敗の責任は引き受けなきゃいけないし、逃げるなんて許されません。それなのに残業代もつかないし、代わりにもらえる管理職手当は微々たるもの。明らかに割に合いません。
平穏に生きていきたい。定年まで下っ端で全然OK 。末永く給料もらえるならそれでまったく問題なし。でもけっこうそんな人も管理職ぐらいまでいくよね。どうしたらヒラのままいられるんだろう。
そんな疑問にお答えします。
最低でも管理職にはなってしまう
長く勤めていれば、よほど仕事ができない人じゃない限り、最低でも管理職には必ずなります。
管理職にもなりたくないなら、とんでもない大ミスをやらかして盛大に迷惑をかけるか、うつになって休むかでもしないとまずムリです。
でもどっちもやりたくないですよね。ミス続きで足を引っ張ってみんなから白い目で見られたいわけじゃない。うつになってまで人生追い込みたいわけじゃない。
となると、白い目で見られない程度に仕事をこなして、細く長く続けていく必要があります。
出世を遅らせるには
突然ですが、働きアリの法則を知っていますか?
別名「2:6:2の法則」ともいわれるもので、アリたちの働きぶりには個体差があることを表したものです。上位2割はよく働くアリ、真ん中の6割はふつうのアリ、下位の2割は働かないアリ。これが人間社会にも当てはまります。
職場に必ず一人はいる「あいつ仕事できない」と後ろ指さされる人。それが下位2割の人です。この人たちの出世は間違いなく遅いですが、じゃあこの人たちになりたいのかと言われるとちょっとためらいますよね。仕事ができなさすぎて嫌われるのもそれはそれでイヤです。
出世を遅らせるためには仕事があまりできないと周囲に思わせる必要がありますが、2:6:2の下位2割に入ってしまうと悪目立ちします。目指すべきは、ギリギリ下位2割に入らない、真ん中6割の一番下のところです。
うまくやれれば、後ろ指をさされるのは避けつつ、人事担当や総務に「あいつにこのポストを任せるのは荷が重いよなあ」と思わせることができます。
では6割の下の部分に入るにはどうするべきか?
目標としては、上司に「言われたことには従うけど、あんまり考えてないよなあ」と思ってもらうことです。
まず、与えられた仕事は毎回期日ギリギリ、ときどきギリギリアウトぐらいのタイミングで上げるようにします。大したことがない仕事でもキャパいっぱいでやっているという印象を植え付けるためです。期日がきてもまったくやっていないのはやりすぎで、下位2割になってしまいます。
もっと効率のいい方法を発見しても、あえて効率の悪いやり方を続けましょう。効率のいいやり方でやってもいいですが、それが気づかれないようにします。
会議で意見を述べてはいけません。「こいつはよく考えている」と思われないためです。
このあたりを守っていれば、上司からの評価は高くなることはないでしょう。
都道府県職員
地方事務所(振興局)への配属を願い出ましょう。
生え抜きは本庁に置いておきたいと思うもの。
延々地方回りをしている人なら出世とは無縁です。
市役所・町役場職員
市役所・町役場は都道府県のような地方回りをする手が使えません。そこで、リスクの少ない出世方法をご紹介します。ちなみに都道府県職員でも使えます。
それは、注目されない分野でのキャリアを長くすることです。
議会で議員にいじめられるのが好きな人はいません。特に一般質問で注目される部署ではどの部長も苦労しています。そんな思いはできれば避けたいもの。となると今のうちから仕込みをしておかなければなりません。
目標は、仮に部長や課長になってしまったとしても議会で注目されない分野でなること。そのために、事業課以外の部署のキャリアをなるべく長くすることです。
議会で注目される部署はある程度決まっています。産業(特に観光)、防災、教育といった、自治体のがんばり次第で変わる分野です。議員は「他の自治体はここまで進んでいるのにうちは取り組まないのか」とか「こんな施策をやってみたらどうだ」とか簡単に言えます。
反対に、ルール上やらなければならないことが決まっている分野は、ほとんど注目されません。議員は行政のプロではないのでどうしても派手なところに目が行き、こうした地味なところは見過ごしがち。税務部や会計課、議会事務局がそうですね。議会といっても座っているだけなのでラクなものです。
課長を選ぶとき、人事は当然それまでの経歴を参考にします。トップを任せるのなら、経験のない人より経験者を抜擢したいと考えるもの。事業課以外の部署のキャリアを長くすることで、たとえ部長になってしまったとしても地味な部署で就任する確率が高まります。
なので異動願いは義務付けられていなくても毎年積極的に提出しましょう。
トップになりそうかどうかは周りの年齢でわかる
管理職でもイヤなのに、課長や部長なんて冗談じゃないですよね。
そんなあなたに、自分が将来課長や部長になりそうかどうかの簡単な判別方法を教えます。
やり方は、自分より少し年齢が上の人の数をチェックするだけ。これは何千人もいる組織だとあまり意味がないですが、300人ぐらいまでの小さな組織だと使えます。
組織が小さいと、だいたい年齢構成には偏りがあります。50代が多いのに30代はほとんどいなかったり、逆のパターンもあります。退職で人が減った分を採用で補充するので、この偏りは解消されません。この偏り具合で将来がある程度予測できます。
50代の職員が多い場合、同じ年齢でもトップにならない人がたくさんいますよね。候補がたくさんいるので、漏れる人も当然出てきます。逆に50代が少ないと、50代前半でトップになってしまいます。
勤務評定なども導入されつつありますが、まだまだ昇進は年功序列。だから自分より年齢が1~3ぐらい上の世代がゴロゴロいれば、上が詰まっているので定年ギリギリまで課長や部長にはならずに済みます。
逆に上の世代がすっからかんなときは要注意。トップのイスの数に対して、年齢的にふさわしい候補はわずか。それでもイスは絶対に埋めないといけないので、下の世代から引っ張ってこざるを得ません。こうなると下手すると40代後半ぐらいから課長をやらないといけないハメになります。定年まで長いですよー。10年以上も議会対応しないといけません。しかも定年延長も時間の問題ですしね。
出世しなかった先は
出世したくない。できれば定年まで責任の少ないポストで過ごしたい。
でも本当に大丈夫でしょうか?
人事評価も本格的に導入されつつある(またはすでにされている)今、公務員の身分は以前ほど盤石ではなくなっています。
出世をしないということは、低い評価を取り続けるということ。人事評価は、やりようによっては低い評価の人をクビにすることも可能です。長く給料をもらい続けたいのなら、そこそこがんばって出世もやむなしとする方が安全です。そこで先ほど紹介した「注目されない部署でのキャリアを長くする」方法を使うのですが、それでもイヤな場合は、最悪クビになることも覚悟しないといけません。
管理職になりそうだったらその前に辞めるのも手
通常の管理職だったらまだよしとしましょう。
でも「トップになりそうかどうかは周りの年齢でわかる」で書いたような、上の世代がすっからかんで、どうやら若くして部長や課長になってしまいそう・・・。そんな雰囲気のときはどうするか?
民間だったら自ら降格を願い出るような制度もありますが、公務員は辞令には逆らえません。課長になれと言われたらなるしかない。
それならいっそ頃合いを見計らって、責任が重くなる前に辞めるのも手です。
トップになる直前ぐらいで退職すれば、責任を背負い込むことなく、円満に早期退職できます。
早期退職したあとの生活は?
早期退職というと、こんな疑問が生まれますよね。
「辞めたあと、どうやって生活していくの?」
収入がなくなる。年金受給まではまだ長い。退職金を切り崩してしのげるかどうかは実際に怪しいところです。
そうなると、選択肢は単純に3つ。
①民間で働く
②自営業を始める
③働かなくてもいいぐらいの蓄えを作る
順に解説していきます。
退職後の選択① 民間で働く
特に田舎の公務員だとつてを頼って再就職、というパターンがあります。50歳ぐらいまで真面目に公務員をやっていればそれなりに知り合いも増えるもの。そこで退職前にそれとなく声をかけておいて、脈ありなところを見つけておきます。
ただし再就職すると収入はほぼ確実にガタ落ちします。なぜなら民間で役立つスキルを持っていないから。民間で役立つスキルとは、言い換えれば会社を儲けさせるスキルです。こういうとき、カネを稼がなければならない民間と、カネを稼がなくても成り立つ自治体の差は大きいです。
50代になって若い奴にこき使われて、しかも薄給。それをよしとするかどうかは本人次第です。
退職後の選択② 自営業を始める
実家を継ぐ、というのならまだわかりますが、退職金をぶっ込んでお店を始めたりする人、たまにいます。
でもオススメできません。理由はおわかりですよね? リスキーだからです。せっかく安定した収入を得て生活していたのに、それらをすべてなげうっての大博打。やめときましょう。
退職後の選択③ 働かなくてもいいぐらいの蓄えを作る
これは独身で倹約家なら公務員の収入だけでも可能です。
しかし家庭があったりするとまずムリです。夫婦共働きで公務員の家庭でも、子供が大学にいったりすると毎月20万円とかかかるので、貯めるにしても限度があります。
「でも、蓄えを作るって具体的にどうやるの?」
そんな疑問が出てきますよね。そこで次は収入を確保する方法を解説します。
収入のあてを確保しよう
副収入を確保しよう
辞めても他に収入があれば怖くありません。
しかし公務員の副業は一般に禁止されています。
公務員の副業禁止に関する法律と抜け道
・国家公務員法第103条
職員は、営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
・国家公務員法第104条
内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可がない限り兼業してはならない。
・地方公務員法第38条-1
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
一言でいうと「公務員は本業だけに専念してね」ということ。
副業が許されるケース
副業が許されるのは、たとえばこんなケース。
・コメ農家だった親の田んぼを受け継いでコメを作っている
・親の持っていたアパートや土地を相続して賃借料が入るようになった
ただしいずれも任命権者(首長)の許可が必要です。あとは、
・資産運用系(学資保険、株、FXなど)
ですね。こちらは許可不要。余剰資金を運用しているだけで、誰かの利益のために働いているわけじゃないし、商売でもないありません。これだけは副業の範疇から外れるので狙っていきたいところ。
ちなみに僕なら資産運用でウェルスナビをオススメします。
沢村一樹のCMでおなじみですね。投資信託の一種で、難しいことを覚えないで全部おまかせできるし、手続きは少ない(スマホ一つでほぼ完結します)し、ローリスクの割に高いリターンが見込めます。僕もやってます。
配偶者名義で稼ぐ!
結婚している人なら、配偶者が公務員でないなら配偶者の名義で以下のような副業も可能です。なお、今回は不動産投資のようなリスクの大きいものは紹介せず、元手のいらないものを紹介しています。
・メルカリやヤフオクで販売
まずは家の中で使っていないものを出品します。
特に実家だと「これ何に使うの?」「これもう使わないよね?」っていうものが大量に見つかると思います。あまり深く考えずに、片っ端から出品してみましょう。どうせ売れなくてもノーリスクです。
中にはヤフオクで落としたオーディオ機器を自分でより見栄え良く仕上げて高値で売却、なんていうプロ並みの人もいますが、そこまでいくとさすがに難易度は高めです。身の回りにあるものから始めましょう。
・ブログ
ブログは夢のある世界です。結果が出るまでに時間と労力こそかかるものの、トップブロガーの収入は億を超えます。そこまでいかなくても月数万円ぐらい稼いでいる人はゴロゴロいます。元手ゼロで始められて、ランニングコストもほとんどいりません。しかも軌道に乗れば何もしなくても毎月安定収入が得られます。
まとめ
出世はしたくない。
だけど、生活できるだけの収入はほしい。
本音はこんなところだと思います。
それなら給料以外の収入源を確保しましょう。給料以外の収入源ができれば、いざ重いポストを命じられても「じゃあ辞めます」と言えます。この切り札を持っているかどうかで、将来設計は大きく変わります。
重いポストで部下と責任を抱えてストレスフルな日々を送るか?
それとも責任が軽いうちに辞めて快適な毎日を過ごすか?
後者を選びたいなら、今のうちから動きましょう。副業にしても何にしても、最初から安定して儲けられるものはなく、軌道に乗るまでにはそれなりの時間がかかります。
仕事に縛られない自由な未来を手に入れるために、できるところから行動を起こしていきましょう。