初動力とは?
何かを始めようとするとき、さっと始められる能力のことです。
早く取りかかればいいのに、なんだかんだと理由をつけてやらない人いますよね。
たとえば英語を身に着けたいとします。
初動力のない人は何かとやらない理由を探したがります。
リスクが・・・とか、
お金が・・・とか、
時間が・・・とか、
どうせちょっとの勉強じゃ身につかないし・・・とか。
あとは、情報を集めるだけ集めて、結局決められません。
英会話教室もオンライン英会話も色々比べてみたけど、どれが一番自分に合ってるのかわからない・・・。
これが初動力のない人です。
当然いつまでたっても英語は身に付きません。
初動力のある人は、とりあえず手をつけてみます。
英会話教室に通ってみようかな、オンライン英会話やってみようかな、おぉリスニング教材なら通勤中にできるぞ、うーん・・・よし、同時に始めちゃえ!
思い立ったが最後、本当に3つ同時に始めます。
そしてやっているうちに色々と気づいていきます。英会話教室は決まった時間に決まった場所に行くのが面倒なことがわかり、2回通っただけでやめました。リスニング教材も通勤中の電車の中で聞いていましたが、ほとんど聞き取れない上に、聞き取れないところがすぐに確認できず、いちいち戻して聞くのが面倒なことがわかったので、こちらもすぐにやめました。オンライン英会話は自宅で好きな時間にできるので続いています。そして一ヶ月たったある日、久しぶりにリスニング教材を聞いてみました。おお、半分ぐらい聞き取れる! なんだかんだで上達してるな?。
という感じです。
英会話教室やリスニング教材をすぐにやめたのを見て、あれこれ手を出して長続きしない奴だとバカにする人もいます。
しかし、着目すべきは結果的に英語が身についていることです。どちらが前進しているのかは一目瞭然ですよね。
なぜ初動力のある人とない人で圧倒的な差がつくのか?
結論から言うと、経験の量が違うからです。初動力の差は経験の量に直結します。
新しいことにトライすると、最初はほぼ確実に失敗します。
初動力のない人は失敗を嫌がります。失敗とは恥ずかしいもの、してはいけないものと捉えています。だから最初の一歩を踏み出せません。
初動力のある人は失敗を前進だと捉えます。〇〇のやり方がダメだとわかったのは前進で、次は△△のやり方を試してみようと考えます。高速でトライ&エラーを繰り返すことで、結果的に正解にたどり着くのが早くなるのです。
「やってみたけどダメだった」は前進
「やってみたけどダメだった」をネガティブに捉えていませんか?
たしかに、失敗する人をバカにするような風潮があるのも事実。誰だってスマートにミスなく仕事をこなして人に褒められたいと思っています。あちこちでつまづいているのはダサい。僕だってそういう側面があるのは否めません。
その方法がダメだっただけで、トライしたこと自体は素晴らしいことです。これは精神論ではなく、きちんと合理的な理由があります。
その証拠に、最近では会社ぐるみでそういう風土に変えていこうという動きがあります。住宅設備超大手のリクシルでは、「チャレンジした結果の失敗は絶対に責めない」という風土を確立させつつあります。他にもサントリーの精神は「やってみなはれ」です。
従業員数1万人を超える会社でもこういう動きがあるということは、その行動にはメリットがあるということです。ではそのメリットとは何か? 見ていきましょう。単純です。
メリット① ダメかどうかがわかる
やったことないくせに、脊髄反射でダメとかムリとか言う人は世の中にたくさんいます。だけどそれってダメだと「思い込んでる」だけなんですよね。ダメだと「証明された」わけじゃない。ダメかどうかは実はやってみないとわからないもの。
やってみて、やっぱりダメだった、というケースも当然多いですが、やってみたら案外すんなりできちゃった、というケースもあるんです。できる可能性があるのに、やらないで足踏みしているのはもったいない。
ダメだったとしても、その方法がダメなことがわかっただけで、それなら違う方法でリトライすればいいだけです。
メリット② ダメなまま終わっても経験が残る
これです。経験は超大事。
なんでもそうです。画像で見るのと生で見るのとは違う。本で読んで知っているのと、実際にやったことがあるのとでは全く違います。
経験のない知識はPCでたとえるとビューワーのようなもの。パワーポイントビューワーはパワーポイントファイルの閲覧はできますが、編集はできません。しかもPCならパワーポイントのインストールは一瞬ですが、人間はPCと違ってインストールするのに時間がかかります。
サッカー観戦が趣味で、サッカーの戦術にいくら詳しくても、フィールドでプロ選手と肩を並べて活躍できるわけではありませんよね。
同じように、トップ営業マンの本をいくら読んでも、すぐにトップ営業マンになれるわけじゃありません。
その知識をもとに自分で実践して、つまずきや失敗を繰り返してこそ、真に使えるノウハウになっていくのです。
僕は勝手にこれを「腹に貯まる」と呼んでいます。本やネットで得た知識は「頭に貯まる」もの、経験で得たものは「腹に貯まる」ものです。そして社会において必要とされるのは、「腹に貯まる」方です。
そのためには、実践、実践、実践しかありません。早く始めて、早く失敗して、転ぶポイントやつまずくポイントを体で覚えていく。それを繰り返しているうちに、いつの間にかできるようになっている。
ビューワーしか入っていないPCと、編集ソフトが入っているPC、必要とされるのはどちらでしょうか。
僕はこのブログのタイトルにもあるとおりメンタルが弱く、何事にも足を踏み出すのが遅く、典型的な「初動力のない人」でした。本だけはたくさん読んでいたので、これも典型的な「ビューワーしか入っていないPC」でした。しかし、次第にそんな自分に危機感を抱くようになりました。
「こんな自分で一生食っていけるのか?」
オドオドしている間に時間は刻々と過ぎていきます。そこで残るのは、何も身につかなかったムダな時間だけ。そんなことを繰り返して、自分は生きていけるのか? この変化の激しい時代に産まれて、何も身に着けないままで、必要とされる人間になれるのか?
必要とされないということは仕事もないということ、仕事がないということは生活ができないということです。そんなに無理しなくても一生コンビニバイトでいいわ、という人もいるでしょうが、いずれそんな誰でもできる仕事から順にAIに乗っ取られていきます。
生き残ってまともな給料をもらい続けるには、価値を生む人間になるしかないのです。
そうなるためには、実践しかありません。
そう考えたとき、僕の中でマインドシフトが起こりました。
「とにかく動いて、この頭でっかちの自分に経験をインストールする」
それは行動にも現れました。たとえば、以前は大勢いる会議の場で質問するのが恥ずかしくてできなかったのですが、「何か拾って帰らないと」という危機感を持っていると、恥ずかしさはほとんど消え、手を挙げて質問できるようになりました。これ、できる人にとっては「なんだそんなこと」と言われるでしょうが、僕にとってはものすごく大きな変化だったんです。疑問を疑問のまま残さないで会議を終えられるので、理解が深まり、仕事もはかどります。
自分が何かしたことで笑われても、以前ほど気にならなくなりました。以前はちょっと笑われただけで「恥かいた・・・もうやらない」となっていたのですが、今ではもう「失敗は前進!」はほぼ肌感覚になっています。何しろ自分が将来生き残っていけるかどうかの勝負なのです。他人に構っている余裕なんてありません。これはダメなことがわかった。じゃあ次はどうする? 何にトライする? とすぐに切り替えて課題解決の方法を探すようになりました。
僕はこうした経験から、初動力を高めることは、仕事においても好循環を生むという実感を持っています。
初動力のない人はリスクがないところで立ち止まる
いくら初動力が大事と言ったって、なんでもかんでも早くやれって言ってるわけじゃありません。急いでるからといって車がビュンビュン行き交う道路を横切ったら撥ねられますよね。そういうリスクの高いことは戸惑っていいし、戸惑って当然です。
だけど、リスクがまだない状態で立ち止まっている人をよく見かけます。
車がほとんど通らない、見通しのいい田舎道で「どうしよう・・・信号ないし・・・撥ねられるかも・・・」いや大丈夫だよ明らかに、もっと別のこと心配しようよ、っていう人、たくさんいます。
どういうことか、転職を例にしてみます。
転職で立ち止まる例
転職は採用されたあとの不安が大きいのはわかります。仕事キツくなるかも、残業多いかも、上司ややこしいかも。挙げだすとキリがありません。だけどそれって、入社してみないとわかりません。しかも面接に行くまではほぼノーリスクなんですよね。
転職のステップを簡単に5つに分けてみます。
①転職先を探す
②応募する
③面接する
④採用が決まる
⑤入社
このうち、リスクがあるのは⑤だけです。
①転職先を探す、②応募する、までは完全なノーリスクです。
③の面接は、費やすものといえば交通費ぐらい。質問に答えられないかも? 落とされるかも? それはリスクじゃありません。落とされても生活に影響はないので。
④の採用が決まっても断ることができます。違約金が発生するわけでもない。ここでもノーリスクです。
⑤入社になって初めてリスクが出てくるわけです。前の職場と比べて仕事の厳しさはどうか? 人間関係はどうか?
初動力のない人は①で立ち止まってしまうんですよね。リスクは何もないのに。
初動力のある人はあんまり深く考えずにさっさと④の採用までいきます。考えるのは⑤入社の段階になってからです。内定もらった。さあどうしよう。
実際、④の採用までいかないと、その後のことはいくら悩んでも意味がありません。だって実現しないんだから。
だから自分を必要としてくれている会社があるかどうか確かめる方が先です。
採用の手も上がらないうちから「転職したら給料下がるかも、仕事キツくなるかも」などと心配するのは、「お金持ちになったら何買おう」と言ってるのと一緒です。それはお金持ちになってから悩んだらいいじゃない、お金持ちになる方法を見つけるのが先でしょ、という話です。
早く動くことは経験を増やします。経験をした人は次の階段を登れます。面接でうまくいかなかった。じゃあ次に同じ質問がきたらどう答えるか。それだけで前進です。面接で何聞かれるかわからないから怖い、で立ち止まったままだと何も変わりません。どうせ面接官も数日したら自分のことなんて忘れるのです。恥はかき捨てです。
そうやって面接を受けているうちに自分の足りないところがわかってきます。色々受けてみた結果、「やっぱり今の会社でもう少しがんばろっかな」っていう結論になるかもしれませんしね。
アウトプットを増やそう
本を読んだら行動する。
何かを吸収したらアウトプットする。
このことを心がけてみてください。
上司で「俺は昔からこの部署にいるからなんでも知ってる」みたいな先輩風を吹かせる人、いませんか? 知ってるだけじゃ意味ないですからね。その知識を使って会社や社会に貢献してこそ意味が生まれるんです。
僕はブログを書いてますが、ブログはアウトプットの最たる例。始めるのはタダだし、やめたって違約金が発生するわけでもないし、いつでもやめていい。まさにノーリスクです。やってみて続けられそうなら続ければいいし、つまらなかったらやめればいい。僕は最初から楽しかったし、今でも楽しいから続いてます。
まとめ
初動力の差はそのまま経験の差につながり、経験の差はそのまま人の価値につながります。
初動力を高めるためには、最初は意志の力が必要です。人間は本来、変化を避ける生き物なので、意志がないと現状のまま動こうとしません。現状を強引に動かすのは、意志の力です。「初動力!」と心の中で呟いて、意識的に動きましょう。そしてリスクが小さいところでたくさんのトライ&エラーを積み重ねてください。
失敗も慣れです。失敗することに慣れると、いちいち傷ついたりしなくなります。